エンジンのオーバーホールはただ組めば良いわけではない。
通常オーバーホール工賃というのはノーマルエンジンの分解組み立て工賃であり、特殊車両はココに様々な内容が増える。
基本的な部分は変わらないけれど、組み立てに神経を使う特殊車両はどうしてもコストが掛かってしまう。
今回組むのはSR20の特殊車両、しかもブローした状態で依頼されたエンジン。

その為、加工した後にもちゃんとクリアランスが出ているかチェックしたり、
以前のものを再使用する場合は細かく合わせないといけない。

ピストンは新品を使う、だけど製品には誤差やばらつきがあるためにちゃんとチェックを入れる。
チェックが終わったら細部の計算をしてシリンダーを洗浄

加工しただけの部品はバリが結構多いので一つづつ確実に処理をしていく。

シリンダーに薄くオイルペーストを塗り込み、ボルトには特殊ペーストを湿布、今回はHKSのシリンダースリーブを入れたブロックを使用
まずクランクメタルを表記がある基準のものをセットしてメタルのクリアランス測る。
今回はストリートカーでは無いのでオイルクリアランスはちょい詰め目でセット、オイルクリアランスが広いと多少オイル交換サボっても影響は少ないけれどレースしか走らない車であれば問題ないので、大量のメタルから1番合うやつを実測で探していく
使用するメタルが決まったら確実に組んでいく。
トルクレンチも‘えいやっ’で締めるのではなくトルク変動を最小にするために一定速で締める。
この時に数字を見ると意識してズレるので音のみ頼り、やり過ぎれば最初からやり直し…納得できるまで繰り返し行う。
組み上がったら
回してオイルペーストが行き渡るように。
ちなみにウチのVEシルビアはこの作業を7回繰り返し納得できるレベルになったが今回は分解組み立てだけで5回で合ったのでまぁまぁかな。
最終チェックは力をかけず回るか?引っ掛かりはないか?をチェック。
少しでも違和感があれば分解して再計測し問題点を潰す。、大丈夫か?は後で「やっぱりバラして確認すれば良かった」になるので妥協はしない。
特殊車両はこのように一つ一つが時間をかけて組まれていく。
普通のオーバーホールだとここまで緻密にはやらない。
時間が掛かれば掛かるほど料金は高額になっていってしまうのが理由。
とは言え普通のオーバーホールが決してダメな訳ではない、最終のチェックは同じ方法で問題があれば再分解になる。

こうしてひつつづつ‘当たり前のことを確実に処理’していくのがエンジンのオーバーホールや製作。
決して‘奇を狙わない’のが大事
ボルトの締め付けで真円がちゃんと出るのか?部品強度は問題ないか?
非常に手間と時間がかかる作業、冬場は自分の手の脂すら除去するため、洗浄クリーナーで手を洗浄し指先凍りながら組むのが辛い。
それでも出来上がったエンジンに火が入る瞬間は嬉しい、そんなこと考えながら寒い工場で1人黙々と組む

次はピストンとコンロッド。
両方とも社外品だが微量な重量のズレが気になっているので1gすら削り落としてバランスを取る。
こういう作業がいつか身を結ぶから手は抜かない。
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