オイル

ウチは営業から業務、製造&開発に経理まで1人でやっている。

この業界も昔に比べ作業金額は上がったけれど部品定価下げ仕切り上げで利益は出にくくなった、人を雇えばラクなのかもしれない、けれどそこまで利益が出るのが非常に難しくなった。

その為、たくさんの商品を在庫で置くなんていう事はできない、だから置くモノ厳選するため長きに渡りデモカーなどを使いテストする事が増えた。

よくユーザーに

「安いオイルをこまめに交換が良いのか?高いオイルを長く使う方が良いのか?」

と聞かれる事がある。

これ、実はオイルの成分などを、ちょっとだけでも知っていれば答えは簡単なのだが…中々説明が難しい。

私はメンテナンス商品でつまらんトラブルが出るのが嫌で、オイル一つとってもテストしてから店で扱うか決める…大変だと言われてもアタシは‘テストマニアであり素材オタク’なので全く問題はないのだけれどw

実はエンジン始動してから3,000kmのGTシルビアに問題が発生、急遽エンジン降ろしてバラさないと修復不可能な事案が出た。

通常なら凹むけど‘チャンス❗️’と思ってしまう。

このエンジン、3,000kmまでにエンジンオイルは3回変えている。

慣らし用に使用した化学合成→エステル合成→フルエステルの3回、途中は粘度の違いで油温が変化するかのテストだった。

化学合成のオイルも慣らしだから温度上がらずポリマー入っているけれど大丈夫だろう、その後はエステル系だから綺麗な状態を維持しているだろうと考えていた…が

予想以外に汚いw

オイルパンにスラッジになる手前の‘ヘドロ’も出ている…コレはミスったな、オイルプログラム変えるか?

通常、オイルを製造する場合はベースオイルを数種類、それに極圧剤(ポリマー)と言われるモノを掛け合わせて作られる。

なぜこう複雑になるかと言えば、販売価格の問題。

ベースオイルを少なくしてポリマーを増やせば販売価格は抑えられ原価の関係で利益が出やすい…コレはいわゆる普通のオイル。

最近では‘再精油(廃油を再精製したもの)’を使うとさらに金額は抑えられるので‘年間いくらで変え放題’なるものもあると聞く。

それに比べ高いオイルはベースオイルの種類だけで倍以上使用し極力ポリマーを使用しない為に金額が高くなる事が多い、ベースオイルは高くポリマーは安いからこんな事が起きる。

ではこのポリマーとはなんぞや?と言う話になる。

ポリマーはベースオイルだけで表示グレードまであげれない場合に追加して目標値に上げるものと考えたらわかりやすい。

このポリマー、世界中に沢山の種類があり特色は様々。

ではなぜポリマーがチューニング&レーシングエンジンにあまり使われないのか?

実はポリマー、超高温に耐えれるものもあれば、低温で分解してしまうものもある。

この低温で分解してヘドロになり後にエンジン内にこびりつき、挙句剥がれるとジャリジャリした砂の様な塊(スラッジ)になる…コレがエンジン内に回れば想像の通り。

この黒いシミがヘドロの状態。

このエンジンは別のSR20だが走行距離約数千キロでエンジンブローした車両。

オイルも良いものを使っていたと聞いているが正式には不明。

コレは安いオイルをこまめに交換していたエンジンのヘッド、ブローはしていないがあちこちジャリジャリした固形物が回っておりこのまま使うのは不可。

オイル交換を怠るとさらにひどい状態になり茶色の部分が黒い固形物で覆われる。

安い低グレードオイルは他の問題も引き起こす、時に固形物がオイルシールを痛める原因にもなり

タービンのオイルシールを破壊、入り口付近にある固形物はポリマーの残骸、ターボの場合使用期間でシールも逝くけれどこうなると何が原因か分からなくなる。

ノンポリマーのオイルならオイル吹きしてもここまでにはなりにくい、しかもタービンのコンプレッサーはそこまで温度が高くないけれど固形化している。

上の3枚の写真はそれほど過酷な使用状況では無い、SR20に関して言えばサーキット専用だがそこまで温度は上がっていない。

なので‘油温が高くないから大丈夫’は全く当てはまらない、油温計の数値は参考でありメーターによっても差は数十℃ある。

温度が上がっていないので問題ない…温度が上がっていないなら分解はしないけど事実分解して悪さしているのが分かってもらえると思う。

ポリマー全てが悪いわけではないが、成分が非公表(公表されても分からないとも言うが…)なので極力ないモノをうちは勧めている

ではなぜ高いやつ使うのか?

最近の高いオイルは‘エステル系’のベースが多い。(一部鉱物でベースを数種類にポリマーも大量、使う種類が多いので高額もある)

エステルにも種類があるが油圧低下が非常に少なく、金属などに付着する性質があり、エステル配合で希望グレードまで持っていきやすくポリマーを使用せず精油できる(一部は最小限使っているものもある)

エステルの欠点は素材が高額なのとゴム類の侵食が挙げられる、ただコレはある程度成分の配合で抑えられるのでそこまで心配することはないと言える。

大昔、レーシング界で最高と言われた‘カストロールの植物油’、コレが使われなくなったのは植物ゆえ‘腐る’ということ、これを人工的に作ったのがエステルと思って貰えばわかりやすい。

上は長年にわたりエステル合成のオイルを使い続けた14万キロのSR20。

エステルには洗浄能力があるのかな?と考えるがそこまでは不明、SR20はクランクの前後オイルシールがよく逝くけれど、他の車と同様それほど交換頻度は変わらなかった。

エンジンを守るのは‘ドライバーとメンテナンス’

いくらキッチリ組んでも、メンテが悪かったりドライバーが異変に気づかなければ簡単に壊れる。

部品が生産廃止に向かっている中、少しでも貴重なエンジンを再利用できる様に維持するのもメンテナンス次第の世の中になって来ているのかもしれない。

そのため数社のエステル系オイルを取り扱っているけど

A.S.H製以外にMoty‘sのテストを始めた。

組み直されたGTシルビアのVEエンジンはテストでコレを使用、今の所感触はいい。

A.S.Hのフルエステルに比べて同温度で0.1~0.3bar油圧が低いけれど誤差の範囲。

エステルベースでポリマーも少量入っている様だがレスポンスは最高、違う種類もRB26でテスト予定。

ターボ以上にオイルの性質で性能に差が出る高回転型NA、可変カムや可変リフトカム車両には安定した高油圧が必要なのでテストが楽しみ。

あっウチの代車や家族グルマなどに使う

‘普通のオイル’も少量取り扱ってますw

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